7つのおはなしがつまってる!『とうさんおはなしして』
YouTubeチャンネル「五島夕夏の絵本チャンネル」では、イラストレーターの五島夕夏さんがおすすめの絵本を紹介しています。
今回紹介するのはこちらの絵本です!
アーノルド・ローベルさんの『とうさんおはなしして』。
こちらは絵本としては珍しく7つのおはなしが入った短編集となっています。
冒頭、7つのおはなしをただ目次で見せるだけでなく、とうさんが眠れない7つ子の娘や息子たちに、ひとりにひとつずつおはなしをしてあげよう、といって始まるんです。
この導入部分があることで、「なぜ7つのおはなしなのか?」「なぜとうさんおはなししてなのか?」という子どものちいさな疑問が払拭され、一気にわくわく感が高まります。
中身は小さめの絵と、区切られた線の下に文章といった構成になっていて、3歳とか4歳とかの小さい子には少し退屈になっちゃうくらいの大きさの比率かもしれません。
だけどこれを読んだ当時、小学校高学年だった五島さんはそれがすごく興味深く感じたそうです。
ひとつひとつのおはなしはかなり短編になっているので、起承転結が激しくいろんなところに移動するというよりは、狭くて小さな世界の中で起こったちょっとしたニヤッとするおはなしや、悲しいおはなしなどといった内容になっています。
中でも五島さんが特に好きなおはなしがあって、内容はぜひ読んで確認してほしいのですが、絵だけ紹介すると
こんなふうに文章の中に、絵文字みたいに絵が補足で入っているんです。
普通絵本って、絵があって、それを補足するおはなしの文章が下だったり横だったりに入りますよね。
それが、絵の方が文章より小さかったり、文章を読んではじめて絵の意味を知ったりと、絵が補足的な役割をしていて、立場が逆転しているのがすごく新鮮に感じます。
内容も、「えっ! そんなことある!?」というようなオチになっていて、7つの短編の中でも特に印象に残るおはなしです。
五島さんは小学校のときにこの絵本を読んで以来、作品のタイトルをずっと思い出せなくて、ネットでおはなしのあらすじを打ち込んで調べようとしたり、本屋さんで店員さんに説明しても「いやちょっと分かんないです」と言われてしまったりと、なかなか見つけられなかったそう。
それが20歳くらいになってようやく見つけることができて10年ぶりに読んだときは「あー! このおはなしだ、このおはなしだ」と、すごくなつかしくなったと語っていました。
絵本って、遅い人でも小学校高学年くらいをすぎると読まなくなりますよね。
でも10年もあけてなつかしい絵本を読むと、思うことがガラッと180度変わると思うので、大人の人も、子どもがいない人も、昔読んで忘れている絵本を探す時間を作ってみるのもいいんじゃないでしょうか。
うろ覚えだった断片がつながる瞬間はとっても快感ですよ!
7つの短編のあとは、最後にまたとうさんが出てきて、おはなしを聞いて一匹ずつ寝ていった子どもたちにやさしく話しかけて終わります。
そんなところが、絵本を閉じて「おやすみ。」と言いたくなるような、寝る前に読むのもおすすめの一冊です。
子どもだけでなく大人の人も、ちょっとモヤモヤする夜に読むと、スマホをいじるのとはまた違った締めになるのではないでしょうか。
動画で詳しく説明しています。
7つのおはなしがつまってる!『とうさんおはなしして』を紹介 前編
7つのおはなしがつまってる!『とうさんおはなしして』を紹介 後編
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