意味不明!?レオ・レオニ著・谷川俊太郎訳『シオドアとものいうきのこ』
YouTubeチャンネル「五島夕夏の絵本チャンネル」では、イラストレーターの五島夕夏さんがおすすめの絵本を紹介しています。
今回紹介するのはこちらの絵本です!
レオ・レオニさんは、『スイミー』や『フレデリック』などの人気作品でもよく知られる、有名絵本作家です。
『シオドアとものいうきのこ』は、レオ・レオニさんの数ある絵本の中では、それほど有名ではないかもしれません。
おはなしは、結構わけがわからないです(笑)
主人公であるねずみのシオドアが、からかわれるシーンがあったかと思いきや、青くて印象的な大きなきのこのふもとで寝そうになったかと思いきや、そのきのこが「クィルプ」としゃべり出して……!?
子どものころにそれを読んだ五島さんは、「きのこがしゃべるって!!!」とつっこんだそうです。
そんな意味不明なシーンが続くんですが、絵柄はとってもきれいです。
五島さんにとっての「青」という色は、このきのこの青! というほど、頭に焼きついてはなれないくらいの色合い、色彩感覚だと語っていました。
レオ・レオニさんは日本でもとても人気で、原画展もよく行われていますが、原画を見るとまたすごく印象が変わります。
こんなわけのわからないきのことか、ちょっとボサボサっとしたラフなねずみとかを描いているレオ・レオニさんですが、デッサンや、鉛筆での細かい描写の技術がとても高いんです!
ラフな線や切り抜きといった表現は、高度な技術があるからこそ成り立つのだなあと感服です。
この絵本ではコラージュという技法を使って描かれているのですが、もともときれいな模様の紙を切り抜いて使っているような部分もあれば、自分で絵の具を混ぜて作った紙を手でちぎって使っている部分もあります。
そんなふうによく見ると、これは手書きかも、とか、こういう包装紙があるのかも、とかいろいろな発見がありますよ!
おはなしのわけのわからなさを忘れてしまうほどの抜群の美しさです。
中でも五島さんがトラウマだという絵がこちら
青はきれいだしきのこも面白いけど、こんだけいてこんなにしゃべられたらこわいですよね!
おそらく子どもじゃなくても気色悪いと思ってしまいそうな衝撃的なページです。
こわいわ! レオ・レオニ『シオドアとものいうきのこ』を紹介 後編
レオ・レオニさんはかなり不思議なイラストも描く人で、有名な『スイミー』や『フレデリック』はおはなしもわかりやすくて万人に愛される絵本ですが、こういった美しいんだけどわけがわからない絵本もスパイス的に描けるというのが魅力的です。
有名な絵本がある人のあまり有名じゃない絵本として、一度有名な作品を読んだ上で、その人のちょっとアクの強い作品を読んでみると、両面性を知ることができて絵本の新しい見方になるのではないでしょうか。
レオ・レオニさんは何十冊もの絵本を描いていて、そのほとんどの作品の訳を谷川俊太郎さんが担当してるのですが、日本語の美しさもすごく感じることができます。
とあるインタビューで、「絵本で何を伝えたいですか?」という質問に「何も伝えたいことはない、書き手が書いていることをそのまま訳しているだけ」と答えていた谷川俊太郎さんですが、日本語がすごく面白くて、大人でもちょっとよくわからない表現とか調べたくなるような言葉が出てくるので、文章にも注目しながら読み進めてみてください!
おはなしの最後はちゃんとオチがあるのかと思えば、それもよくわからないオチで……そんな不思議な、実際に読んでみないとわからない気持ちのいい気持ちわるさみたいなものがあるので、ぜひ手にとって見てみてください!
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意味不明!? レオ・レオニ『シオドアとものいうきのこ』を紹介 前編
こわいわ! レオ・レオニ『シオドアとものいうきのこ』を紹介 後編