本当にあったお話!『ねこの看護師 ラディ』

YouTubeチャンネル「五島夕夏の絵本チャンネル」では、イラストレーターの五島夕夏さんがおすすめの絵本を紹介しています。

 

今回紹介するのはこちらの絵本です!

ねこの看護師 ラディ (講談社の創作絵本)

『ねこの看護師 ラディ』。

ポーランドで実際にあったお話を元にした絵本です。

 

黒猫のラディは捨て猫として、とても弱った状態で施設に連れてこられました。

徐々に回復したラディは、施設に運び込まれる弱っている動物たちに自然と寄り添うようになったのでした……。

 

猫好きの五島さんは、冒頭のラディが弱っているシーンですでに泣きそうになって、そこからだんだん元気になっていく様子を描いた最初の数ページで、ぐっと心をつかまれたそうです。

 

ラディは自分よりも大きな犬やヘラジカにも、怖がることなくゆっくりと近づいて、そっと寄り添います。

すると人間に対して警戒心があったりおびえていたりした動物たちも、落ち着いて心が安らぐようなしぐさを見せるようになるんです。

動物どうしだからこそ通じる心があるかのようで驚きです。

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ラディはまるで同じ動物としての痛みや、自分が経験した寂しさを共有しているかのような奇跡的なふるまいをするのですが、その様子は本当にあったお話だというのが信じられないくらいです。

 

五島さんは実家で猫を2匹飼っているけど、人間に寄りつかないどころか猫同士でも仲が悪くてケンカをしているようなハチャメチャな猫なので、同じ猫として心穏やかなラディを見習ってほしい! と語っていました。

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絵は上杉忠弘さんというイラストレーターの方が描いていますが、情緒あふれる絵で描く感動物語というよりは、一枚一枚が海外のグラフィックポスターのような美しいデザインになっています。

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一枚絵として完成されていて、色みや構図がとってもおしゃれ。

文章ではラディの心優しさや動物の痛みが情緒的に表現されていますが、一方で絵はすっきりと整理されています。

そんな文章と絵のギャップが、人を引きこませるひとつの魅力になっています。

 

またこのように文章が長く続くところでは、コマ割りのようにイラストを配置することでちいさな子どもにも飽きさせないようになっていたり、

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そうかと思えばいきなり大きな画面になったりと、

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大人に対してしっかりと読ませる文章がありつつも、子どもでも飽きることなく最後までワクワクドキドキハラハラしながら読めるイラストのタッチがついてきていて、子どもから大人まで幅広く、人を選ぶことなく読ませることのできる作品になっています。

 

最後のページでは我慢できず泣いてしまったという五島さん。

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でもそれは猫好きだからという理由ではないといいます。

猫が好きとか犬が好きとか関係なく、ちょっと最近心がすさんでるかもっていう大人の方が読めば、ぐっと心をあたためられると思いますよ!

絵本を読むというよりは、あたたかいお話をひとつ聞かせてもらったような、じんわりと広がっていく何かを感じます。

きっとそれは子どもにも通じる感動でもあるし、大人の方にとっては忘れていたあたたかさを取り戻させてくれるお話でもあるので、老若男女問わず読んでもらいたい一冊です!

 

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本当にあったお話!『ねこの看護師 ラディ』を紹介 前編

本当にあったお話!『ねこの看護師 ラディ』を紹介 後編