絵本『3びきのくま』を紹介

イラストレーターの五島夕夏さんによる絵本紹介YouTubeチャンネル「五島夕夏の絵本チャンネル」

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今回紹介するのはこちらの絵本です。

3びきのくま (世界傑作絵本シリーズ―ロシアの絵本)

トルストイ ぶん・バスネツォフ え『3びきのくま』。

とても有名な絵本で、たいていの図書室、図書館、書店には置いてありますよ。

『3びきのくま』の絵本は、いろいろな人が絵を描いたものがたくさん出版されているけど、このバスネツォフさんが描いたものが、五島さんのいちばんのおすすめです!

なんといっても、表紙をひらいたとたんに出てくるこのかわいい柄!

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小学生のときにこれを見た五島さんは、「かわいい〜!」「お菓子の包装紙みたい〜!」と、女の子心をくすぐられたんだって。

 

おはなしの内容は、森で迷子になった女の子が小屋を見つけて入り込み、置いてあったスープを飲んだりベッドで寝たりしていると、そこにくまたちが帰ってくる……というもの。

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わかりやすく、ドキドキしながら読めるストーリーになっています。

くまたちは邪悪な表情をしていて、女の子が食べられてしまうんじゃないかと不安になったりもしますが意外と平和なまま終わって、そのギャップも面白いんだとか。

 

そして、五島さんがこの『3びきのくま』の中でいちばんおすすめするポイントは、出てくるスープがものすごく美味しそう! というところ。

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分厚いうつわと大きな木のスプーン、中に入った(コーンスープなのか?コンソメスープなのか?よくわからない)黄色いスープがとにかく匂いまで感じるようで、すごく食べてみたい! とこの絵本を読むたびに思ってたんだって。

絵本の中に出てくるお菓子や食事って、すごく美味しそう! と思った経験はありませんか?

どれも写真や実物で見るよりも美味しそうに感じるというのが、五島さんの「絵本あるある」です。

 

また、美しい色彩、景色、かわいい小物なども、この絵本の魅力です。

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おはなしは単純なパターンの繰り返しだけど、「つぎはなにが出てくるの!?」と早くつづきが見たいという気持ちにさせてくれます。

 

バスネツォフさんは他の絵本でも、見開きや挿絵のデザインが凝っていて、いま見ても新しい色使いをしている人。

気軽に飾ったりするのもひとつの絵本の楽しみ方で、インテリアのために絵本をパケ買いも全然アリ! という五島さん。

そういった使い方としても、『3びきのくま』はぴったりです!

 

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絵本『しずかなおはなし』を紹介

イラストレーターの五島夕夏さんによる絵本紹介YouTubeチャンネル「五島夕夏の絵本チャンネル」

今回紹介するのはこちらの絵本です。

しずかなおはなし (世界傑作絵本シリーズ―ソビエトの絵本)

 

ロシアの絵本『しずかなおなはし』。

作者は、サムイル・マルシャークさんとウラジミル・レーベデフさんという舌を噛んでしまいそうな名前の人たちです。

 

1963年に発行されたロングセラーの有名な絵本なので、いま大人の人も、小さい頃に見たことがあるという人が多いかもしれませんね。

 

五島さんは小さい頃この絵本をお母さんに読み聞かせてもらったけど、実を言うとそのときはあまり響かなかったんだって。

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というのも、出てくるはりねずみがやけにリアル。

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キャラクターのような、(五島さんいわく「キュルン☆」みたいな)デフォルメされたデザインではありません。

色使いも、どよーんとした緑色や茶色などが主体。

絵本に対してファンタジーやカラフルなものを期待していた小さい頃の五島さんは、これらの絵を見てさみしい気持ちになっちゃった。

 

その後五島さんは、高校生になって再び本屋さんでこの絵本に出会いました。

そのとき何気なく読んでみると、じんわりとしみわたるようなあたたかさを感じ、はじめてこの絵本のよさが分かったんだって。

 

そして大人になったいま、仕事や人間関係……都会の生活に疲れたときにこの絵本をひらくと、とっても静かな気持ちになって読めて、気持よく終われる。

 

小さいときと、高校生のときと、いま。読む年代ごとに感想が変わったという五島さん。きっとこの先もまた違ったよさがにじみ出てくる、じわじわとしみわたるような作品です。

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『しずかなおなはし』というタイトルであるとともに、おはなしの冒頭はこんな文になっています。

ちいさな こえで よむ おはなし。
そっと そっと そっと……
はいいろの はりねずみたちの
しずかな しずかな おはなし。

サムイル・マルシャーク著・ウラジミル・レーベデフ絵(1963)『しずかなおはなし』

 

五島さんに読み聞かせをしてくれたお母さんも、優しい小さな声で読んでくれたそう。

おはなしのなかで、こわい顔をしたオオカミが出てきてハリネズミがあぶない目に合うシーンがあるけど、そんなときも、ハリネズミの気持ちになって静かに息をひそめながら見守りたくなるような迫力がこの絵本にはあるといいます。

 

五島さん自身も、もし結婚して子どもが生まれてこの絵本を読んであげるとしたら、寝る前に小声で読んであげたいと語っていました。

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五島さんの描くイラストはとってもカラフルで、この絵本とは対極にある印象。

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だけどいつかはこの絵本のような、色だけじゃないインパクトで物語を盛り上げる絵を描けるようになれたらなぁと思ってるんだって。

 

はりねずみたちの静かな表情と、小声で読み聞かせたくなる文章。

大人の人にもおすすめの、この先もずっと読みたくなる一冊です。

 

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「五島夕夏の絵本チャンネル」スタート!第一回目はブライアン・ワイルドスミス『くまくんのトロッコ』を紹介!

イラストレーターの五島夕夏さんによる絵本紹介YouTubeチャンネル「五島夕夏の絵本チャンネル」が始まりました!

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イラストレーターとして活動する後藤さん。

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こんなかわいいイラストを描いているよ!

 

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五島さんは1992年生まれの23歳(今年24歳)。

絵本と猫とごはんと本が好きなんだって!

 

それではさっそく第一回目の絵本を紹介!

今回紹介するのはこちらの絵本です。

くまくんのトロッコ

 

 

ブライアン・ワイルドスミスの『くまくんのトロッコ』 。

1982年に発行された絵本です。

 

五島さんは小学2年生(8歳)のときに、伊豆にあるワイルドスミス絵本美術館に連れて行ってもらったところ、お母さんに「一冊だけ買ってあげる」と言われ、2時間も悩んでこの絵本を選んだんだって!

選んだ理由は、表紙のくまの絵にインパクトを受けたから!

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細かく描きこまれた毛並みや表情からは、画面から飛び出してきそうな迫力を感じます。 

作中に出てくる動物たちや草木や花も、とても美しい色彩で描かれています。

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作者のブライアン・ワイルドスミスさんは「色彩の魔術師」と言われていて、色というものをとても大切に扱っている作家さん。

子供の頃の五島さんはそれらの見たこともない景色にとても強いインパクトを受けたのでした。

 

お話の内容は、ずる賢い行動をとったくまに対して他の動物が仕返しをしたりと、こどもにとってはちょっと怖いと感じる部分も。

動物たちはみんな仲良しといった絵本のイメージとは少し違いますね。

そして一匹一匹に性格や表情、心の中に持った本当の気持ちがあって、この絵本をお母さんに読み聞かせてもらっていた五島さんは、それぞれのキャラクターを自分のまわりの友達や家族に置き換えながら聞いていたんだって。

 

またたくさんの動物たちが出てくるので、「この生き物はなんだろう?」とか、細かい部分に描きこまれた動物が「何匹いるかな?」「見えるかな?」といった会話のきっかけも生まれました。

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触りたくなる細かい描写や色や質感は、紙の本の良さを感じさせてくれます。

五島さん自身もいつかこんな絵本を描きたいと思いつつ今でも読み返していて、子供の頃も大人になった今も大好きな作品なんだそう。

 

最後にはあたたかい気持ちになるおすすめの一冊です。

見つけたらぜひ読んでみてくださいね!

 

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