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子どもにも大人にも人気! 佐野洋子『100万回生きたねこ』

イラストレーターの五島夕夏さんがおすすめの絵本を紹介するYouTubeチャンネル「五島夕夏の絵本チャンネル」。

  

今回紹介するのはこちらの絵本です!

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

佐野洋子100万回生きたねこ』!

言わずと知れたロングセラー絵本ですね!

五島さんは、本にあまり興味のないお友達に子どものころの記憶に残っている絵本を聞くとまず100万回生きたねこがあがることが多いと、自身の経験からもこの作品の人気を実感していました。

 

作者の佐野洋子さんは、この作品のほかにもたくさんの絵本や児童文学、エッセイといった文章もたくさん描いている人です。

小学生から中学生向けの児童文学でも大人が読んでもすごく面白いものがたくさんあるので、ぜひネットで検索して見てみてね!

 

この100万回生きたねこ』、

100万年死なない、100万回死んで100万回も生きたねこがあるところにいたという、冒頭から衝撃的な入り口でおはなしがはじまります。

あるときは王様のねこだったり、あるときは泥棒のねこだったりと、100万回の人生を少しずつふりかえっていきます。

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そんなねこにはあるときのらねこになった時代がありました。

のらねこの時代、とにかく強くてたくましいこのねこは、メスねこたちからモテモテでしたが、その中に、ツンと一匹だけ見向きもしない白いねこがいました。

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ねこはしだいに白いねこに惹かれ、2匹は添い遂げることとなります……。

 

添い遂げるまでのイラストや文章は、大人が読んでもじーんと心があったかくなったりむず痒くなったりする部分なので、ここはぜひ手にとって見てみてくださいね!

 

白いねこを愛し、ともに人生をすごし子どもも生まれて一緒に歳をとっていったねこがその後どうなったかという部分が、この絵本のひとつのポイントになっています。

白いねこは100万年生きるねこではないので、やがて年老いて死んでしまいます。

この、ねこが白いねこを抱きしめて大声で泣くシーンのイラストはとてもインパクトがあるんです。

f:id:iwamayoiko:20161215163926j:plain絵本に出てくるねこって、キュートでかわいらしいイメージがありますよね。

この佐野洋子さんが描くねこは、特別リアルタッチではないのですが、妙に本物に忠実なんです。

ねこの口の中は舌にちゃんとテクスチャがあったり、上顎にザラザラした感じが見てとれたり、歯がキバみたいに見えたりと、ド正面から泣いているねこを描こうとしている印象。

その迷いのなさに圧倒されるインパクトがこのページにはあるという五島さん。

安らかでシンプルな線で描かれた白いねこと大声で泣くねこのギャップに誰しも心つかまれるものがあるのではといいます。

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佐野洋子さんの文章は、ただかわいいや愛おしいなど、全面に愛を押し出すような表現ではなく、ちょっと小憎たらしかったりかわいそうだったりと、いい意味で悲観したような部分があるところが、読者の心を引きよせる一つの魅力になっています。

別段ファンタジーということはなく、なんてことないこのねこたちがどこかにいるんじゃないかと思わせつつ、現実には100万回生きるわけはないというところで日常ともちょっとちがう……そんなあたまを混乱させるような魅力が、絵にも文章にもつまっています。

 

絵も文章も同じ人が書いている場合、自分の頭の中の世界を絵にぶつけてそれを補完するように文章があって、文章をぶつけたと思ったら補完するように絵があってというふうに、書き手の中できちんと一つの作品にまとまっているのですごく読みやすいんです。

それが子どもが読んでもとても印象に残るひとつの理由かもしれませんね!

 

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まねできる絵でもまねできる文章でもない、佐野洋子さんだけの一冊。

子どものころに読んだけどなんとなくしかストーリーを覚えていない人は、一字一字かみしめるようにまた読んでみると、ちょっと気持ちが晴れたり違う明日がまっているような気持ちになれたりすると思うので、大人の人にこそもう一度、二度三度と読んでほしい絵本です。

 

ねこは100万回生きるなかで飼い主たちにとても愛されていて、ねこが死んだときはみんな大泣きしたのですが、ねこ自身は彼らのことを嫌いだったり冷めている部分があったりしました。

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そんなねこがのらねこになったときにやっと愛し愛されることを見つけるというところが、このおはなしの確信と思われますが、それが「好き」とか「愛してる」とかいう言葉を使わずに表現されています。

そうした言葉が安く感じてしまうくらい、ほかの言い回しやイラストで表現されている愛情が見てとれるという部分からは、いい意味で子ども向けの作品ではないのではないかと思わされてしまいます。

 

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イラストはたくましいねこが愛くるしく、まわりで遊ぶ子どもたちや言いよってくるメスねこたちにもちょっとずつ違った性格があることがわかる表情や毛並みやタッチがあります。

シンプルな線だったり、ざざざっと筆で描いただけに見える線だったりにも、きちんと意味やなにかの魅力があると思うのでじっと見つめてみてください。

 

このがばっと大きく開けるサイズもお気に入りポイントだそう。

f:id:iwamayoiko:20161024144312j:plain「日本人の作家さんの絵本もたくさんありますが、とくにこの佐野洋子さんは、ちょっとニッチで 大人にも向けた人は誰って聞かれたら一番にあがる人」と五島さん。

 

こちらの動画でも詳しく解説していますので、見てみてくださいね!

超ロングセラー絵本『100万回生きたねこ』前編 - YouTube

超ロングセラー絵本『100万回生きたねこ』後編 - YouTube

 

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